2018年09月07日放送
#2540「政治権力・民主化・メディア」
【テーマ】
今から約30年前、日本がバブル景気に沸いていた頃、韓国では軍事政権が終わり民主化のうねりが始まっていました。その韓国の民主化闘争の歴史の一幕を描いた映画「タクシー運転手」「1987、ある闘いの真実」「共犯者たち」が立て続けに公開されます。これらの映画を糸口にして、韓国の民主化をめぐる歴史と、それにつながる現代の民主化の闘いについて、文化人類学の視点から韓国の民主化運動について研究している東京大学東洋文化研究所の真鍋祐子教授と「報道特集」の金平茂紀キャスターに話を伺います。
【放送後記】
韓国料理や韓国ドラマ、K−POPが好きな私ですが、こうした文化を身近に感じて親しみ、楽しむことが出来ているのも、「過去」があるおかげなのだと改めて思いました。韓国で民主化運動が盛んだった時代は、今からわずか30年ほど前。私が生まれる少しだけ前のことで、当時日本はバブルに湧いていたという話はよく耳にします。その頃、韓国は軍事政権下に置かれていて、学生や市民が少しでもいい社会を作り出そうと「民主化」を掲げ、人々が働きかけていたという事実を私は知りませんでした。その韓国の民主化闘争の歴史の一幕を描いた映画が今回紹介した「1987、ある闘いの真実」そして「タクシー運転手」です。近くの国で、近い時代に実際にあったことを知らなかった恥ずかしさと、人々のエネルギーの大きさに心を打たれ、私にとって色々な意味で刺激的な映画となりました。そして今回取り上げたもう一つの映画が、12月に日本で公開される韓国のドキュメンタリー映画「共犯者たち」です。こちらはつい最近まで韓国のマスメディアで起きていた事実を取り上げています。上記の2本の映画から感じた、一人一人の力で社会は変えることが出来るという、韓国の人々の大きなエネルギーに胸を打たれると共に、メディアで働く者としてとても考えさせられる作品でした。韓国の民主化をめぐる歴史と知られざる現代の民主化の闘いを描いた3つの映画。グローバル化が進んでいる時代を生きているからこそ、私たちのような若い世代に知ってほしい歴史であり、そのエネルギーを感じてほしいです。
(島津久美子)