手作りフリップ(4月7日放送)
「振り込め詐欺…なぜタイに拠点?」

摘発の舞台は、東京からおよそ4600キロも離れた、タイのリゾート地パタヤ。
振り込め詐欺の拠点が、日本国内ではなく遠く離れた海外で摘発されました。
日本人の男ばかり15人が一挙に逮捕される「異様な光景」となりましたが、日本へ詐欺の電話をかけていたとみられるいわゆる『かけ子』です。

アジトとみられる高級住宅には、日本時間の時計のほか、キッチンや寝室もあり、2か月ほど前から共同生活を送っていたといいます。
ここから高齢者を狙い『通信販売の料金が支払われていない』などと、嘘の電話をかけていたと見られ、壁には、個人成績やノルマが貼られ、マニュアルも見つかりました。
その中には、『行政指導』と、信憑性を高める言葉を使うよう指南されていました。 また「ネガティブにならない」「責任感を持つ」「冷静さを心がける」といった張り紙もありました。

では、「なぜ海外が詐欺グループの拠点となったのか?」
タイ警察によると、タイは『ビザなし』で、30日間滞在することができ、『インターネットの環境』も整備されている事などをあげています。
また詐欺事件に詳しい中島氏は『日本国内は、警察による振り込め詐欺の摘発が強化された』ためと指摘。一時は中国に拠点を移す犯行グループもありましたが、取り締まりが強化され、東南アジアに移っていったといいます。捜査が及びにくい海外ということで15人の大所帯でも可能だったわけです。

もう一つ重要なのがこちら、52台も見つかったIP電話です。IP電話は通常の電話回線を使わず、インターネット回線を使うことで、世界中のどこから通話しても料金が安くかけられます。
ITジャーナリストの三上氏は、こう指摘した上で、今では『振り込め詐欺のツール』として使われているといいます。
実は、IP電話と契約する時点で「03」などから始まる番号を選ぶこともでき、被害者側からは 「東京からかかってきている」と思ってしまうわけです。

今回、逮捕のきっかけは、多くの電話が設置された事を不審に思った大家が、警察に相談したからですが…逮捕されたのは『かけ子』だけです。
彼らに指示した人物はどこにいるのか?
リーダーや、だまして振り込ませた金を引き出すいわゆる「出し子」は、日本にいると思われますが、組織的な詐欺グループとみられ、実態の解明が求められます。
