手作りフリップ(6月16日放送)
「香港で“100万人デモ”」
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香港で大規模デモが起きた背景を改めて、解説します。
香港は元々中国の一漁村でしたが、1842年、アヘン戦争に勝利したイギリスの植民地となりました。
資本主義国の植民地として、19世紀半ばから、急速に経済発展。
イギリス統治の下、1982年に初めて普通選挙が一部で行われるなど民主化の動きを進めていました。

この香港が、1997年7月に、中国に返還されました。
「社会主義」で「共産党一党独裁」の中国がとったのが「一国二制度」です。
その主な内容は…
「高度な自治権」、行政権や立法権、独立した司法権を持ちます。
また、「経済制度や生活様式を変えない」。
そしてこれらの政策を少なくとも「50年間、2047年までは変えない」というものです。

しかし、中国政府の介入が強まっています。
例えば、香港のトップ、行政長官は、中国寄りとされる選挙委員会が選ぶ間接選挙で事実上、親中派しか就けない状況が続いています。
2014年に一度、中国側が普通選挙を認める方針を示しましたが、親中派が多数を占めるとみられる指名委員会が候補者を絞り、実質的に民主派が閉め出される内容だったため、香港市民は「雨傘運動」と呼ばれる大規模なデモを起こしました。
この方針は却下されましたが、事態は変わらず、行政権を持っているとは言えません。
そして、今回問題となっている「逃亡犯条例の改正案」ですが、香港で拘束した刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡せるようしようというもので、「中国に批判的な人たちが中国本土に引き渡され、中国の裁判にかけられる」として、独立した司法権が脅かされる懸念があります。

また、香港で広く使われている中国語は「広東語」という方言ですが、小学校など教育現場では、中国の標準語「北京語」を使うよう推し進める動きが進んでいます。
生活様式にも変化が現れています。
50年間は変えないとしていましたが、返還から22年近く経ったいま、
このように政治や社会の面では、大きな変化をみせているのです。
こうした動きを戦々恐々として見ているのが台湾です。
中国は「一国二制度」による台湾統一の考えを示していて、蔡英文総統は「一国二制度をひとたび受け入れたら、台湾の自由、民主、人権は他人、つまり中国に支配される」とコメントしています。
鮮明になった中国の“一国”重視の姿勢。
一国二制度は崩壊してしまうのでしょうか。
